そして世界はぐるりとまわる

過去だったり未来だったりいまだったり

父とは。

自分の父親は、私に興味がない人でした。

毎度私の名前を間違えるぐらい、興味のない人でした。

名前をつけたのは父親自身であるのに。

 

子供の頃からケーキの中に果物が入っているのを

苦手としていた私は、

誕生日ケーキのホールケーキを嫌い、

ショートケーキはいちごを嫌い、

チョコレートケーキはスポンジに挟まれている桃を嫌い、

チーズケーキばかり好む子どもでした。

兄がチョコレートケーキを好んでいたので、

自分の好みが優先されることはあまりなかったのですが

外でケーキを食べるにも、ケーキを買ってもらうにも

必ずチーズケーキを選ぶので親戚には「子どもらしくない」と

思われていたようです。

 

一方父は。

仕事帰りに珍しくケーキを買って帰ってきたことがあり。

「お前の好きなケーキを買ってきてやったぞ」と

恩着せがましく言われて箱を開けたら、

中身は複数の果物がゴロゴロ載ったフルーツタルトで。

「私、フルーツが多いケーキ嫌いなんだけど」

どこの子供と間違えたのか、と不審に思ったのが

とても印象に残っています。

 

なので、大人になった時に戸籍謄本を取り寄せて

血がつながっているか確認しましたからね。

実の親子でした。

ただ本当に父は私に興味なかったようです。

そういえば構われた記憶もないわ。

腹立つことはたくさんあったけど。

父が脳梗塞になり、記憶が怪しくなった時に

私の名前と誕生日を思い出せなかったのは印象的でした。

母と兄は覚えていたのにね。

 

と、こんな感じの歪んだ親子関係なので

父を頼りにしたことはないし、

今後も頼りにすることはないと思います。

実家を出て、やっと不愉快に思うことがなくなりました。

こんな親子関係もあるということで、

誰かの慰めになればと思います。

ちなみにいまだに私の名前を間違えますので、

今後も覚えることはないでしょう。